『アブサン』と聞いて思い出すのは、画家ロートレックや詩人のヴェルレーヌが身を滅ぼす原因となったお酒?それとも、そのお酒の名前がついた水島新司さんの野球漫画・・・どちらでしょう?
私が『アブサン』から一番に連想するのは、実は猫です。風邪をひいたような嗄れ声が、アブサンを飲みすぎて喉を潰した酒場女に似ている(?)という理由で、アブサンと呼ばれるようになった猫がいたんですよ。
というわけで、
『アブサン物語(河出書房新社):村松友視』。表紙の絵は和田誠さんです。
村松夫妻と愛猫アブサンとの21年にわたる楽しい日々の物語です。猫がゴロゴロ喉を鳴らすと、「どうして怒っているの?」と不思議がるような猫オンチの奥様と、自分は猫にはちょっと詳しいと思い込んでる村松さんと、そして「いい駄ネコ(糸井重里氏曰く)」の代表として西武百貨店の新聞広告に載ったこともあるアブサン。二人と一匹の平凡で平和な日々の暮らしが、淡々とした筆致で書かれたこの一冊。猫好きにはまさに必読の書です!!
最後はアブサンの大往生で幕を閉じるのですが、ひたすら悲しむ奥様と、「この野郎、達人の死に方しやがって・・・」と憎まれ口を叩きながらもアブサンの見事な一生に感服する著者。このあたりは、同じ経験をしたことのある人、生き物と一緒に生活したことのある人なら、誰でも容易に共感できて、思わず落涙するのは避けられません(^_^;)
実は、我が家の最年長にゃんこが亡くなりました。アブサンのような大往生というわけにはいきませんでしたが、それでも一生懸命病気と闘って、健気に生きた姿はやっぱり立派なものでした。河原で出会った日から今日まで、楽しい思い出をたくさん残してくれたことに「ありがとう!」を言いたいな~と思って、今日はこの記事をアップしてみました。
あ、『アブサン物語』には続編が2つあります。
『帰ってきたアブサン』と
『アブサンの置土産』。
良かったら、こちらも是非!おすすめですよ~(^^)